これからの100年へ
先人の思いが残る曳家再生工事
道路の拡張に伴い、古民家の立ち退き工事で相談頂きました。
様々な選択肢の中、100年は越す先祖が建てられた建物を隣接する敷地へ移転される事をご決断。
曳家にて思い出の詰まった古民家を移転させました。
経年的な劣化により傷んだ土台や柱の交換・根継ぎを行い、約30m程度離れた敷地に新たに製作したコンクリート基礎の上に設置致しました。
施主様の御意向もあり、左官職人の竹小舞・土壁塗りや大工による国産木材の使用による仕口・継手など出来るだけ伝統的な構法を用いながら、ポイントでは現代の施工方法も取り入れ、さらにこれから100年持つような建物を目指しました。
地域のシンボル的な建物として、今後も引き続き残せた事に施工側としても大変嬉しい工事となりました。
施工前 母屋以外の隣接する「納屋」「蔵」「離れ」は解体しました。
曳家前に劣化部分の修繕。 差し替えのできない柱は根継ぎを行いました。
部材の状況に合わせて様々な継手を駆使して修繕していきます。 大工の知識・経験が大事になります。
「曳家」 水平を保ちながら少しずつ慎重に建物を動かしていきます。
現地まで曳家完成。 土台への設置面の微調整に進みます。
職人が集まり全体のバランスを見ながら建物を降ろしていきます。息の合った作業が重要となります。
土台と柱へは凹凸をつけた「ほぞ」と呼ばれる差し口で接合されます。約50本の柱を土台へ調整しながら着地させていきます。
無事に着地成功。
屋根の改修工事 破風板には緩やかな曲線を付けました
左官職人による竹小舞掻き
土壁塗り 竹小舞同様に最近の建築では余り見なくなった工程です。
完成 玄関の扉は今回解体した蔵の扉を再活用。どっしりとした雰囲気があります。
完成 広縁には新たに雨戸を計画。柿渋を施す事で雨染みを防ぐと共に、古色のような深い色味がつきました。
完成 土で仕上げた壁は、仕上げには墨を配合した「鼠漆喰」を採用。落ち着いた雰囲気が町並みに溶け込みます。
完成 元々母屋に葺いてあった瓦を外構のアクセントにて再利用。処分すれば廃棄物ですが、活かせば十分資源となります。
完成 店舗としてこれから使用されるため、内装仕上げは部分的に致しました。 広縁に続く2間の開口は、木製の大きな引き違いにしました。座敷から庭がゆったり眺めれそうです。
完成 トイレにも古建具を再利用。 欄間も組み合わすことで思い出が生きていきます。
施工内容 | 曳家 古民家再生 古材・古建具再利用 |
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場 所 | 広島市 |
〒731-0222
広島市安佐北区可部東5-22-33-10
TEL:082-814-3905
FAX:082-516-7545